0. はじめに
リアルタイムレンダリングに耐えうるくらいのポリゴン数でモデリングを行いたいが、
ZBrushはクリーチャーの皮膚とか、毛束の筋とかを彫ることにフォーカスしたチュートリアルが多く、
ローポリゴンについて言及している資料が少ない。(個人の感想です。)
しかし全くないわけではなく、そういった先人の知恵から学んで自分なりに作業まで落とし込めたのでその時のメモを残す。
ローポリゴンでのモデリングはリアルタイムレンダリングに使えるだけではなく、最終的なクオリティアップにもつながる。なめらかな曲線を作り、美しいモデルを仕上げるために、少ないポリゴンで始めるというのは公知の鉄則である。
前置きが長くなったが以下作業メモ。
ローポリゴンを意識して髪の毛をモデリングする。
1. ベースメッシュの作成
ZSphereで大まかな形を作る。
アダプティブスキンのオプションは
メッシュ密度2
ダイナメッシュ解像度0、クラシックスキニングを使用。
このパラメータにしておくと、できるだけ少ないポリゴン数で綺麗な曲線ができる。
クラシックスキニングを使用すると、
ルートスフィアの部分がぶつ切りのようになってしまうので、
小さな枝を生やしておく。
Aを押して確認し、思い描く形に近くなったらアダプティブスキンを作成。
また、ルートスフィアは回転ができないのでちょっといびつな形になってしまうのは仕方ない。
後ほどスカルプトで整える。
2. ローポリゴンでのモデリング
アダプティブスキンで作成したオブジェクトを追加する。
ジオメトリメニューを見ると、サブディビレベルが1と2があるが、
レベル1はローポリすぎるので、低レベル削除を押して削除。
MoveTopologicalやギズモ/トランスポーズなどを使って求める形を作っていく。
先端はこのようなトポロジーが好ましい。(人によって好みが違うかもしれない。)
MoveTopologicalブラシのブラシサイズを小さくして1ポリゴン単位で形を整える。
(横から見たところ)
(前から見たところ)
ある程度形ができてきたら、ディテールを加えられるようにサブディビレベルを上げる。
大きく変えたい場合は必ず低サブディビに切り替えて作業する。
低サブディビで形を整える->高サブディビでディテールアップ、を繰り返す。
基本的には1と2を繰り返してモデリングしていく。
もっと細かい毛束や、髪の毛の支流を作っていく。
新しくくZSphereを追加するか、メインの髪の流れを作った時のZSphereを再利用して支流の形状を作る。
3. ポリゴンの押し出し
髪の毛束を分岐させたい場合などに有効な方法。
サブディビレベルを一つだけにする。高レベルがある場合はいったん削除。
(ディテールを上げる前にやっておかなければならない…)
支流を生やしたいポリゴンだけをマスクし、反転。
ギズモでCtrlを押しながら移動するとそこから新しくポリゴンが押し出される。
Ctrlを押して移動するたびに新しくポリゴンが作成されるので大まかな形状を作りながら押し出す。
毛束ごとにポリグループを分けておくと編集が楽になる。
押し出しで作ったポリゴン部分の解像度が低いと感じたら、その部分以外をマスクしてサブディバイドすると良い。
特に根本に注意してしっかりマスクで分けないとおかしなトポロジーで分割されてしまうので注意する。
ただしこの方法は三角ポリゴンが作成されてしまうので四角ポリゴンにこだわる人には向かない。
サブディバイドを使わない場合は押し出す段階でポリゴンの分割加減に注意しながら押し出す。
それでも後からポリゴンを分割したくなった場合は、
分割したいポリゴンの隣までをマスクで選択しておき、
残りの部分をCtrlを押しながら移動させると、
そこから押し出させるので、ポリゴンを分割したような効果を得ることができる。
4.完成へ
基本はこれだけである。
できるだけ作った毛束を再利用しながら効率よく新しい毛束を追加していく。
ローポリの時点できれいな流れができているので、
もしハイポリにしたくなってもディバイドするだけで対応できる。
髪の毛だけではなく、様々なモデリング対象に適用可能な方法である。